いつも、お世話になっております。
3月ですね。東海道沿いに植えられている桜も咲く準備をしているみたいで す。「わが世の春」という言葉がありますが、今のクレーンメーカーのためにあるような言葉です。タダノさん、過去最高利益みたいですね。「勝ちに不思議の 勝ち有り。負けに不思議の負け無し。」という言葉があります。この「勝ち」がクレーンメーカー自らが演出したものであれば良いのですが、そうでなく「なん だか知らないけど売れている」とすれば怖いことですよ。
さて、そんな中、今回は、昨年来より売れに売れているクレーンメーカー(納期 1年待ち)が言いだした「業者によるレンタル目的のためのクレーン新車発注は受注できない」という考え方について自分の意見を述べて見たいと思います。
クレーンメーカー(特にタダノさん)の言い分は以下の通りです。
- エンドユーザー(国内オペレーター付きクレーンリース会社)が多数、新車の納入を待ち望んでいる状況において、近い将来転売目的のブローカ―、業者に新車を「持って行かれる」のは問題がある。
- レンタル目的で購入する会社は短期間での転売利益を目論んでおり、不道徳である。
- そのようなブローカーが高年式の中古車を海外に転売するので市場が混乱する。
上記は表面上の理屈であって、本音は「とにかくうまいことやっている奴が気に入らない。」ということなんだと思います。だって、そうなんだもの。 1. ~ 3. は販売拒否の理由になっていないでしょう。法令違反ですか?
特にタダノさんは「広域レンタル」の会社にカーゴクレーン、高所作業車 を販売しているわけだから、ラフタークレーンとカーゴ、高所が基本的な性質として何が違うのかをきちんと分類したうえで上記の理屈を展開しないと筋が通ら なくて突っ込まれるとシドロモドロですよ。「レンタルのニッケン」さん「アクティオ」さんなんか思いっきり「レンタル目的」なんだから。
メーカーは市場に機械をできるだけたくさん投入するのが純粋な目的なは ずです。自分達の生産能力が需要に追い付かないからといって営利目的で活動する民間企業の公正な競争をコントロールしようとするなど「思い上がり」も甚だ しいと思います。へたしたら、独占禁止法違反ですよ。
販売する側にも販売先を選ぶ権利があるという言い分もありますが、それは販売先が「反社会的な団体」であったり「契約通りの支払をしない契約先」であったり商法上問題がある場合でしょう。
弊社も販売代理店をやらせていただいておりますが、弊社がメーカー代理として新車を販売させていただくお取引先の基準は以下のとおりです。
- 納入後、機械を大切に使用していただける。
- こちらからリコール等の案内をした際、当該機械の所在場所が明らかである。
- 支払が明確で常識的であり、約束を履行していただける
- 何か「トラブル」があった時でもきちんとした話し合いができる。
「レンタル目的」はいかんという理屈ではなく「投機目的」はいかんとすべきであったと思います。油圧 クレーンは生産財です。その導入形態は「設備投資」です。「投資」と「投機」は違います。クレーンでいう「投資」には道具として使用するという側面が含ま れています。道具として使用し付加価値を生みその中から設備費用を支払い減価償却する。それが運用の基本です。だから「外国の代理店との契約」があるから 1年以内に海外持ち出し禁止、ではなく法定償却が5年のものをなぜ1~2年で売却するのか、そんな投資は生産財の運用として認められないという理屈なんで す。だから、新車の発注元が「業者」であってもきちんと運用する(道具として使用し、資産として運用する)会社なら受注すべきです。
所謂「機械ファンド」こそ業界を混乱させる芽を持つ投機筋として駆逐していく対象なのです。